2019-06

Jalshaのブログ

短歌について(6)

保田與重郎が言う「こころ」と「ことがら」の違いをもう少し考えてみる。 開戦の朝の電車に知る知らぬ引き締まりつつ静かなる顔  阿部鳩雨宣戦のビラに痺(しび)れしごとき街今朝の静けさかつて見ざりき  平井乙麿 どちらも日米開戦を詠った歌だ。短歌や詩を離れて、散文として読むなら、前者にはほとんど「客観」だけが語られていて、後者には「主観」がかなり混じっている。たとえば、前者の「(顔)引き締...
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短歌について(7)

 昨日の結論、すなわち、「あの時代の人々みんながそこ(日本の「こころ」)に戻って考えていたなら、戦争はまったく違った展開になっていただろう」というのは、わかりにくいかもしれない。満州事変・支那事変から大東亜戦争にかけての時代には、複数の思惑がもつれあいながら展開していた。ひとつは日本の「こころ」にもとづくアジア解放の願いで、これは確かに存在した。ひとつはアジア征服の帝国主義的野望で、これが存在し...
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小休止

 まだもうちょっと書くことがある気もするが、ここらあたりで小休止をする。短歌や古典の話はしばらくお休み。  先週は、月曜日は訪問介護士さんが来て介護してくださった。火曜日・水曜日は予定がなかった。木曜日は学会のスタッフが2人やってきて夕食を一緒に食べた。金曜日と土曜日は予定がなかった。日曜日は姪(私の弟の娘)とその連れ合いがやって来て楽しくおしゃべりをした。そして今日は月曜日で訪問介護士さ...
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短歌と瞑想

 短歌の話の続きをする。むかし書いたシリーズをすこし校正したものだ。主題は『玉葉集』と『風雅集』の歌で、実際に書いたのは、この前のシリーズのすこし後の、2016年05月18日からしばらくの間だ。この前と同じように、いまの気分ですこし付け加えたりする。  さて、『玉葉集』と『風雅集』は、『新古今和歌集』よりも後の、南北朝時代の勅撰和歌集で、他の歌集とは傾向がまったく違っている。それは、京極為...
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短歌と瞑想(2)

 仏教の教えを詠った歌を釈教歌という。昨日、京極為兼の釈教歌をひとつとりあげたが、世の中に釈教歌ほど面白くないものはないことになっている。それは私も賛成なのだが、せっかくひとつ紹介したので、調子に乗ってもういくつか書いてみる。『風雅集』の釈教歌の章に、   燕鳴く軒端の夕日影消えて柳に青き庭の春風  花園院 という歌があって、これは、面白くないどころではなくて、叙景歌として見て絶品だ...
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短歌と瞑想(3)

 人間にとって最大のわざわいは人間だ。自然現象による災害などは、人間が引き起こす災いに較べれば、たかが知れている。源平の合戦は全国の武士たちを巻き込んだ大戦争だったが、その後で成立した鎌倉幕府は、強い裁判権を行使することで、百年あまりの期間、なんとか平和を保つことに成功した。しかし、鎌倉幕府滅亡以後、江戸幕府が成立するまで、人と人が殺し合う愚かな時代が、250年も続いた。『風雅集』はそういう時代...
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天皇と歌の流派

 光厳上皇(1313年ー1364年)について書いた。伝記を見ると、尊敬するしかない人物なのだが、どういうわけか有名ではない。まあ、時代を考えると当然なのかもしれない。2016年に光厳上皇を主人公のひとりにする時代小説を書いたことがある。上皇の伝記をそのままにたどったものではなくて、たくさんの幻想を交えたものだが、私のなかにしっかりとした天皇像ができた。その続きというわけでもないが、光厳上皇のこと...
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中国地方会

 今日から山陰地方に出かける。目的は2つあって、第1は米子市で「日本アドラー心理学会中国地方会」を覗きに行くこと、第2は鳥取市で娘の家を訪問することだ。第2の比重は行ってみないとよくわからない。なにしろ小さな子供たちがいて、その機嫌に合せて行動するしかない部分がある。だからそれについては考えない。  問題は中国地方会だ。中国地方には私と意見の違う人がいる。それがおとなしくしていてくれればい...
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中国地方会(2)

 前回が6月8日(土)で、中国地方会に出発する寸前に書いた。その日は鳥取市で泊り、翌日米子市まで行って中国地方会に参加した。地方会の結果は…さあ、どうなんだろう。そもそも記事がちゃんと書けていない。混乱中だ。  表面的にはきわめて「穏当」に話は進んだ。もともとの予定はそんな「穏やかな」話ではなかったはずなのだが、演者が原稿を前の晩に全面的に書き直して、私の意見に「あわせて」くれた。もっとも...
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国のはじまり

 日本アドラー心理学会の問題については、ちゃんとした資料が手に入っていないので、断定的なことはなにも言えない。だからしばらくは黙ることにする。  かわりに日本国の歴史について書いてみる。竹田恒泰氏が書かれた『中学歴史』という本を手に入れた。本文の書き出しは32ページじゃないかな。「日本列島の誕生」という題名で、次のような記事が書かれている。   この世の初めに高天原に成った神は、天之...
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